温度・粘度
厚み二乗冷却則
あつみにじょうれいきゃくそく
Thickness-Squared Cooling Rule
許容冷却速度は厚みの2乗に反比例する(q∝1/t²)という、フュージング作品の冷却設計における経験則。厚みが2倍になると、必要な冷却時間はおよそ4倍になる。
詳しく
厚み二乗冷却則は、ガラスの許容冷却速度 q [K/min] が板厚 t [mm] の2乗に反比例するという関係 q ∝ 1/t² を示す、フュージング作品の冷却設計における経験則である。直感的に言えば、厚みが2倍のガラスは冷却速度を1/4にしなければ同等の残留応力に抑えられない。この関係はガラスの熱拡散と応力の蓄積から導かれ、薄いガラス(平板)に対しては高速冷却が許容されるが、厚物になるほど急激に冷却時間の延長が必要になることを示す。
Bullseye Glass社は実測に基づく「Annealing Thick Slabs」チャート(bullseyeglass.com)を公開しており、1段階冷却の目安として厚さ6mmで83°C/h、19mmで25°C/h、50mmで3.8°C/hという具体的な許容冷却速度を示している。実際の作品では形状や炉の温度均一度によって実効厚みが変動するため、単純な平板換算より厳しめの設定が安全である(実効厚み補正)。著者(近岡令)はOYF自家配合系での偏光板実測による歪検査を通じ、このチャートより短い時間でも割れずに仕上がる事例を複数報告しており、配合による応力緩和速度の差の可能性を示唆している。
※本用語はかつて「Adams-Williamson則」という名称で掲載していましたが、その名称は本来、地球内部の密度分布を求める地球物理学の関係式(Adams & Williamson, 1920年代)であり、本項の内容とは無関係でした。無関係な実在の研究者名を用いていたため、名称を「厚み二乗冷却則」に改めています。
関連概念
熱衝撃割れ(thermal-shock-fracture)・歪点以下破壊(sub-strain-fracture)・実効厚み(effective-thickness)・偏光板テスト(polariscope-test)・ランプ(ramp)・OYFガラス(oyf-glass)
出典Sources
- Bullseye Glass Co.「STUDIO TIPS: Annealing Thick Slabs」(bullseyeglass.com)

