設計・制御
初期加熱(A段階)
しょきかねつ
Initial Heating (Stage A)
焼成プログラム第1段階。室温から約500℃まで緩やかに昇温する。熱衝撃割れを防ぐため低速(COE90で100°C/h)で進む最初のフェーズ。
詳しく
初期加熱(A段階、Initial Heating)は、近岡令が2012年頃から用いている焼成プログラム8段階(A〜H)の第1段階である(外部文献の引用ではない)。室温から約500°Cまで緩やかに昇温するこの段階の主な目的は、ガラスの急激な熱衝撃割れを防ぐことにある。熱伝導律速の昇温フェーズで、Bullseye COE90の標準設定は100°C/hだが、作品の厚みやサイズが大きいほどさらに低速化が必要となる。表面と内部の温度差(ΔT)が引張応力(σ = αEΔT/(1−ν))として現れるため、昇温速度の制御が最初のクリティカルな工程となる。
A段階はη-T-t軌跡言語の「heat-up(昇温)前段」に対応し、ガラスが固体(剛体)として振る舞う温度域(歪点以下)を通過する。この域では粘性流動による応力緩和がほとんど起きないため、温度差から生じる熱応力が蓄積しやすい。厚み19mmの板では50°C/h、50mmでは20°C/h程度まで低速化することがBullseye推奨の目安となる(Bullseye Annealing Thick Slabs Chart準拠)。複合レイアウト作品や異種素材を含む場合、熱膨張率の違いからさらに低速が必要になることがある。
関連概念
温度均一化(B段階)(firing-stage-b)・焼成プログラム8段階(firing-program-8-stages)・η-T-tフレームワーク(eta-t-t-framework)・熱拡散率κ(thermal-diffusivity)と合わせて、昇温フェーズの設計原理を理解する。

